【連載】僕は努力することをやめた。 (第5話)


前回までのあらすじ

 超娯楽人間になった僕 ゆうじろうは、生徒会長からライブハウスのイベントに誘われた。その後、バンドにはまったゆうじろうは憧れのバンドマンのいるスタジオに通うことを決意する。決意したスタジオの先にいたのは、変人集団だった。

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スタジオに通って1カ月になろうとした頃だっただろうか。

 

僕は、音楽仙人 斉藤さんに呼ばれた。

呼ばれた先にいたのは、赤い情熱ふんどしマンとドレッド兄ちゃんだった。

 

ふんどし兄ちゃんは 夢野 さん といった。

そして、その横にいるドレッド兄ちゃんは ボブマーリーと呼ばれていた。

 

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二人は、高校の時から、このスタジオに通い続けた仙人の愛弟子だ。

 

赤いふんどしマンの夢野さんは、子供心は僕らの原点で人の原点だと思う!わすれちゃいけない。といい、その思いを音楽で伝え続けていた。

 

ドレッド兄ちゃんは、なかなか教えてはくれなかったが、ある日、ゆっくり煙草を吸いながらこう言った。このたばこは、神との交信なんだよ。俺は、神といつもこうやって交信を取って、音楽で世界を救う方法を教えてもらってる。音楽で世界を救うのが俺の夢だ。

 

そういった。

普通に聞いたら、頭がおかしくなった人にしか思えないだろう。

でも、彼らは本気でそれを伝えていた。

 

音楽がそれを証明していたんだ。彼らの音楽は、仙人の教えを受け継ぎ、自ら判断し、新しい音楽を発明していた。そして、それを聞くと、もう体を動かさずにはいられないんだ。だから、一ミリもバカになんかできない、いや、大尊敬の存在だった。

 

僕にはまだ、本当に叶えたい夢がなかった。

音楽で人を喜ばせる!という目標はあったけれど「こう、なりたい!」とかそういう、人生のテーマってものがなかったんだ。

 

斉藤さんは、二人の変人がスタジオに入った後、僕にこう告げた。

「急がなくていい。でも、ちゃんと思いを持って音楽もやらなきゃ、何もつたわらない。そしてなぁ、おめぇさんにしか出来ないことが必ずある。それは、音楽の土俵じゃないかもしれない、でもなぁ、それを見つけて、叶えてこそ人生に意味があるんじゃないか。大きい小さい関係なくなぁ。」

 

僕は、まだ苦労のくの字もしらない手を固く握りしめた。僕に何ができるのか。

 

それからの僕は、毎日僕とは何か?何を伝えたいのか?

そして、それをして誰を幸せに?喜ばせたいのか?を考えるようになった。

 

でも、なかなか答えは見つからない。

スタジオに行っても見つからない。

 

斉藤さんたちと話す話は、「とんかつにソースじゃなくて、とんかつにはワサビと大根おろしと醤油だなぁー!」とか、そういう他愛もない話ばかり。それはそれですごく楽しかったが。

 

もちろん、音楽の中でグルーブとは何か?とかいろいろな事を学んだが、その中に僕のやりたいものは詰まっていないと感じていた。

 

そして、半年がたったころバンドを仲間とやっていく中で、気づいたことがあった。

それは、僕のベースがやっとひょっこり外に顔を出すようになってきた。

 

練習を重ね、斉藤さんの話や夢野さん、ボブマーリー先輩から教えてもらいながら、僕の音楽は少しずつ変化してきていた。

 

それも、僕独自の音楽に。

斉藤さんたちから教わっていた日々は、全く無駄じゃなかった。

実は自分で考え判断して発明していくという事を僕は、音楽を通して学んでいたんだ。

 

そして、誰かを幸せにするとか?そういうことじゃないことも悟り始めた。

ただ笑顔を作る ただそれだけは、僕の人生のテーマに直結していく。

それだけはわかったんだ。

 

それから数カ月たっても、僕の人生のテーマは見つからなったが、

僕はひたすら笑顔が生まれるにはを考え、日々を過ごしていた。

 

日々に感謝しながら。自分で自分の思考を探求しながら。

 

そして、僕にもやっとステージに立つ日が来たのだった。

 

ライブハウスには150人以上の観客が入っていた。足はガクガクだ。

バックパスを付け、ステージ裏に回り、出番が来るまで楽屋で待機する。

その緊張感は半端じゃなかった。

 

そして、僕たちのバンドの順番が回ってきて、僕はステージに立った。

 

 

僕は努力することをやめた。(第6話)

次回<挫折と奮闘>